[編集] 分布
日本語は、主に日本国内で使用される。話者人口についての調査は国内・国外を問わずいまだないが、日本の人口に基づいて考えられることが一般的である。
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日本国内に、法令上、日本語を公用語ないし国語と定める直接の規定はない。しかし、裁判所法においては「裁判所では、日本語を用いる」(同法74条)とされ、文字・活字文化振興法においては「国語」と「日本語」が同一視されており(同法3条、9条)、その他多くの法令において、日本語が唯一の公用語ないし国語であることが当然の前提とされている。実際に、法文を含めて公用文はすべて日本語のみが用いられ、学校教育では日本語が「国語」として教えられている。
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日本国外では、主として、中南米(ブラジル・ペルー・ボリビア・ドミニカ共和国・パラグアイなど)やハワイなどの日本人移民のあいだに日本語の使用がみられるが[1]、3世・4世と世代が下るにしたがって日本語を話さない人が多くなっているのが実情である[2]。
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また、第二次世界大戦の終結以前に日本領ないし日本の勢力下にあった朝鮮半島・台湾・中国の一部・樺太(サハリン)・旧南洋諸島(現在の北マリアナ諸島・パラオ・マーシャル諸島・ミクロネシア連邦)などの地域では、日本語教育を受けた人々の中に、現在でも日本語を記憶して話す人がいる[3]。台湾では先住民の異なる部族同士の会話に日本語が用いられることがある[4]。
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また、パラオのアンガウル州では日本語を公用語のひとつとして採用している[5]が、現在州内には日本語を日常会話に用いる住民は存在せず、実態上は州公用語としての役割を果たしていない。
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日本国外の日本語学習者は、韓国の約90万人、中国の約40万人、オーストラリアの約40万人をはじめ、アジア・大洋州地域を中心に約235万人となっている。日本語教育が行われている地域は、120か国と7地域に及んでいる[6]。また、日本国内の日本語学習者は、アジア地域の約10万人を中心として約13万人となっている[7]。
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[編集] 系統
詳細は日本語の起源を参照
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日本語の系統は明らかでなく、解明される目途も立っていない。いくつかの理論仮説があるが、いまだ総意を得るに至っていない[8] [9]。
アルタイ諸語に属するとする説は、明治時代末から特に注目されてきた[10]。その根拠として、古代の日本語(大和言葉)において語頭にr音(流音)が立たないこと、一種の母音調和[11]がみられることなどが挙げられる。ただし、アルタイ諸語に属するとされるそれぞれの言語自体、互いの親族関係が証明されているわけではなく[12]、したがって、古代日本語に上記の特徴がみられることは、日本語がタイプとして「アルタイ型」の言語である[13]という以上の意味をもたない。
南方系のオーストロネシア語族とは、音韻体系や語彙に関する類似も指摘されているが[14]、語例は十分ではなく、推定・不確定の例を多く含む。関連性は不明であるといわざるをえない。
ドラヴィダ語族との関係を主張する説もあるが、これを認める研究者は少ない。大野晋は日本語が語彙・文法などの点でタミル語と共通点をもつとの説を唱えるが[15]、比較言語学の方法上の問題から批判が多い[16](「タミル語」も参照)。
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個別の言語との関係についていえば、中国語は、古来、漢字・漢語を通じて日本語の表記・語彙などに強い影響を与えてきた。日本は、中国を中心とする漢字文化圏に属する。ただし、基礎語彙は対応せず、また文法的・音韻的特徴は中国語と全く異なるため、系統的関連性は認められない。
アイヌ語は、語順(SOV語順)において日本語と似るものの、文法・形態は類型論的に異なる抱合語に属し、音韻構造も有声・無声の区別がなく閉音節が多いなどの相違がある。基礎語彙の類似に関する指摘[17]もあるが、例は不十分である。一般に似ているとされる語の中には、日本語からアイヌ語への借用語が多く含まれるとみられる[18]。目下のところは系統的関連性を示す材料は乏しい。
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朝鮮語は、文法構造に類似点が多いものの、基礎語彙が大きく相違する。音韻の面では、固有語において語頭に流音が立たないこと、一種の母音調和がみられることなど、上述のアルタイ諸語と共通の類似点がある一方で、閉音節や二重子音(中期朝鮮語の場合)が存在するなど大きな相違もある。朝鮮半島の死語である高句麗語とは、数詞など似る語彙もあるといわれるが[19]、高句麗語の実態はほとんど分かっておらず、現時点では系統論上の判断材料にはなりがたい。
また、レプチャ語・ヘブライ語などとの同系論も過去に存在したが、ほとんど偽言語比較論のカテゴリーに収まる。
日本語と系統を同じくする言語と明らかに認められるものは、琉球列島(旧琉球王国領域)の言語である琉球語のみである。琉球語は日本語と非常に近いため、日本語の一方言(琉球方言)とする場合もある。別言語とする場合、日本語と琉球語をまとめて日本語族とも称する。
[編集] 音韻
詳細は日本語の音韻を参照
[編集] 音韻体系
日本語話者は、「いっぽん(一本)」という語を、「い・っ・ぽ・ん」の4単位と捉えている。音節ごとにまとめるならば [ip?.po?] のように2単位となるところであるが、音韻的な捉え方はこれと異なる。音声学上の単位である音節とは区別して、音韻論では「い・っ・ぽ・ん」のような単位のことをモーラ[20](拍[21])と称している。
日本語のモーラは、大体は仮名に即して体系化することができる。「いっぽん」と「まったく」は、音声学上は [ip?po?] [mat?tak?] であって共通する単音がないが、日本語話者は「っ」という共通のモーラを見出す。また、「ん」は、音声学上は後続の音によって [?] [m] [n] [?] などと変化するが、日本語の話者自らは同一音と認識しているので、音韻論上は1種類のモーラとなる。
日本語では、ほとんどのモーラが母音で終わっている。それゆえに日本語は開音節言語の性格が強いということができる。もっとも、特殊モーラの「っ」「ん」には母音が含まれない。
モーラの種類は、以下に示すように111程度存在する。ただし、研究者により数え方が少しずつ異なっている。「が行」の音は、語中語尾では鼻音(いわゆる鼻濁音)の「か゜行」音となるが、若年層ではこの区別が失われてきている。そこで、「か゜行」を除外して数える場合、モーラの数は103程度となる。これ以外に、「外来語の表記」第1表にもある「シェ」「チェ」「ツァ・ツェ・ツォ」「ティ」「ファ・フィ・フェ・フォ」その他の外来音を含める場合は、さらにまた数が変わってくる[22]。なお、「ヴ」は表記の上では多く見られるが、独立した音韻とは考えられない。
直音(母音)
あ い う え お
直音(子音+母音) 拗音
か き く け こ きゃ きゅ きょ (清音)
さ し す せ そ しゃ しゅ しょ (清音)
た ち つ て と ちゃ ちゅ ちょ (清音)
な に ぬ ね の にゃ にゅ にょ
は ひ ふ へ ほ ひゃ ひゅ ひょ (清音)
ま み む め も みゃ みゅ みょ
ら り る れ ろ りゃ りゅ りょ
が ぎ ぐ げ ご ぎゃ ぎゅ ぎょ (濁音)
(か゜ き゜ く゜ け゜ こ゜) (き゜ゃ き゜ゅ き゜ょ) (鼻濁音)
ざ じ ず ぜ ぞ じゃ じゅ じょ (濁音)
だ で ど (濁音)
ば び ぶ べ ぼ びゃ びゅ びょ (濁音)
ぱ ぴ ぷ ぺ ぽ ぴゃ ぴゅ ぴょ (半濁音)
直音(半子音+母音)
や ゆ よ
わ
特殊モーラ
ん(撥音)
っ(促音)
ー(長音)
なお、五十音図は、音韻体系の説明に使われることがしばしばあるが、上記の日本語モーラ表と比べてみると、少なからず異なる部分がある。五十音図の成立は平安時代にさかのぼるものであり、現代語の音韻体系を反映するものではないことに注意が必要である(「日本語研究史」の節の「江戸時代以前」を参照)。
[編集] 母音体系
基本5母音の調音位置
左側を向いた人の口の中を模式的に示したもの。左へ行くほど舌が前に出、上へ行くほど口がせばまることを表す。なお、[o] のときは唇の丸めを伴う。母音は、「あ・い・う・え・お」の文字で表される。音韻論上は、日本語の母音はこの文字で表される5個であり、音素記号では以下のように記される。
/a/, /i/, /u/, /e/, /o/
一方、音声学上は、基本の5母音は、それぞれ
[a] [i] [?] [e] [o]
に近い発音と捉えられる。「う」は英語などの [u] のようには唇を丸めず、非円唇母音であるが、唇音の後では円唇母音に近づく(発音の詳細はそれぞれの文字の項目を参照)。
音韻論上、「コーヒー」「ひいひい」など、「ー」や「あ行」の仮名で表す長音という単位が存在する(音素記号では /R/)。これは、「直前の母音を1モーラ分引く」という方法で発音される独立した特殊モーラである[23]。「鳥」(トリ)と「通り」(トーリ)のように、長音の有無により意味を弁別することも多い。ただし、音声としては「長音」という特定の音があるわけではなく、長母音 [a?] [i?] [??] [e?] [o?] の後半部分に相当するものである。